2019年6月26日 ウッハヤーツアー開幕
6月26日(水)
今日は半ば無理やり有給を取り、八王子にあるオリンパスホールへ向かった…
理由はただひとつ、今日から始まるでんぱ組.incのライブを観るため…
片道1時間半の道のりを経て、会場のある八王子に到着した。
今日はまだ近い方。母校が八王子にあったせいもあり、自分の庭にすら感じる。
ライブ開始5時間前にもかかわらず、ヲタクたちでにぎわう八王子南口。
こんなに早く現地に到着するのはバカげていると感じるかもしれない。
しかしツアーには物販がつきもの。
皆、グッズを手に入れるために、早い人だと早朝から並んでいる。
自分はグッズに興味ない。いや、厳密には家にグッズが多すぎてスペースがないため、グッズに興味が無いと自分に言い聞かせているというのが正しい表現である。
そんな葛藤を抱きつつ、知り合いのヲタクと互いを鼓舞したり、写真を撮ったり時間をつぶした。
ライブ30分前、会場に入り、自分の席に着く。
ペンライトのメンテナンスをし、水分補給も行う。
ライブはスポーツといってもいい。
事前に水分補給をしないと、確実に脱水症状を起こしてしまう。
ライブ10分前、席から立ち上がり、開演のときを待つ。
最近知った傾向だが、席があるのに開演前に立って待つヲタクは、いい意味でヤバイヲタクの傾向があるらしい。(ヤバイヲタクの意味は想像にお任せする。)
立って開演を待つことに特に意味は無いと思う。
しかし、これから始まる戦いに武者震いするあまり、座って待つことなんてできないというヲタク心理の表れなのではないかと勝手に空想している。
周りを見渡すと、今回も例に漏れず、いい意味でヤバイヲタクばかりが立って開演を待っている。
途中、同じく立っていた知り合いのヲタクが、立っているヲタクが総じてやばい傾向に気づき、座り直して立っているヲタクをゲラゲラ笑っていたが、安心しろ。君もやばいヲタクだ。
定刻になってもライブは始まらない。
でんぱ組のライブは基本的に定刻に始まらないことの方が多い。
その日は20分遅れでのライブスタートとなった。
ライブが始まると、己の血が、肉が、心臓が、蒸発・昇華するように熱くなってくる。
夏の暑さのせいではない、アイドルとヲタクの熱気のせいである。
ライブは棒立ちで静かに観るのも通だが、基本はコールを叫んだり、ダンスを真似たり、ヲタ芸を打ったり、推しジャン(推しのパートでジャンプ)したり大忙しだ。
最初の3曲はいわゆる”沸き曲”と呼ばれるもので、特に盛り上がる曲を序盤に3連続で入れてくるなんて、セトリを考えた人は正気かとヲタク一同が思うほど、大いに盛り上がった。
でんぱ組はテンション高め、ハイテンポな曲が持ち味だが、ゆったりとしたバラード曲も定評が高い。アップ&ダウンの緩急をつけ、色とりどりの声色を響かせるでんぱ組のパフォーマンスには10年来古参ヲタも唸ったであろう。
ライブがラストスパートになると、でんぱ組はもちろん、ヲタクたちのギアも上がる。
ライブは生ものだ。聴いたことがある曲であろうと、前のライブでやった曲であろうと、その日のその曲は二度と体感できない。絶対に今日のライブを後悔しないために、喉が裂ける勢いでコールを叫ぶ者、より一層激しいヲタ芸、推しジャンをする者、様々な表現で推しを応援する。
先ほど、ライブはスポーツだと述べたが、あれは間違いだ。
ライブは戦闘だといってもいい。それほどヲタクたちは、ステージ上にいる推しへ、まるで言霊や生霊を乗せるかのように、我よ我よと死に物狂いでエールを送る。
自分は推しが2人いるため、そのぶん人より推しジャンが多くなる。
アーチ上に軋み、悲鳴を上げる自分のすねに対し「なんとか持ちこたえてくれ!!!」と願いながらながらも己の持つペンライトの光を推しに届けるため、ひたすら推しジャンを続ける。
このすねが折れようとも届けなければならない”光”。おおかたそんなところだろうか。
個人的に最高の応援ができた充実感を覚えたところで、とうとうラストの曲へと差し掛かる。
この日は20曲を歌った。しかし足りない、早すぎる、できるなら永遠にライブを聴いていたい!
会場のヲタク皆がそう思うほど、楽しすぎて一瞬のライブだった。
この目に、耳に焼き付けて、最大限の愛おしい感情を抱きながら、最後の1曲を噛み締める。
ライブが終わってしまった…
終演後、ヲタク達と今日のライブの素晴らしさを思い思いに語る。
これもライブ後の楽しみのひとつだ。
その日はヲタク達で温野菜を楽しんだ。
終電を逃したので、ヲタクの家に転がり込み、熱いシャワーを浴びる。
知り合いのヲタクの家で再度ヲタク達と今日の感想を述べ合う。
ヲタク達とでんぱ組を語ると、当然のように夜が明けてしまうため、早めに切り上げ、寝床についた。
今日は最高の日だった。
なぜなら最高のライブを目の当たりに出来たのだから。
最高のライブとは常に更新されるものだ。
おそらく、次のライブは今日よりも最高になること間違いないだろう。
そんなまだ見ぬ未来に希望を抱き、耳に残るライブ音の余韻を楽しみながら、夢中に落ちる初夏の休日だった。